本大会2日目(10月5日)には次のテーマでの課題研究1~3を予定しています。詳細につきましては大会プログラムで改めてお知らせいたします。なお、課題研究1・2は、学会の課題研究委員会として2005年度までの三年間取り組んでいくことを企図しています。関心のある会員の方々の継続的な参画を期待いたします。
課題研究1 国際比較研究「大学改革と教育専門職の養成」
司会
志村欣一(山梨学院大学)・吉岡真佐樹(京都府立大学)
提案
- 「アメリカの動向」 牛渡 淳(仙台白百合女子大学)
- 「国際教育機関の動向」 八木英二(滋賀県立大学)
- 「フランスの動向」 園山大祐(大分大学)
- 「中国の動向」 鮑 良(神戸市外国語大学非常勤)
趣旨
現在、わが国では国公立大学の再編・統合および法人化の政策が強力に押し進められており、その中で教員養成系大学・学部の改組・縮減が進行している。また国公立大学にとどまらず、私学を含めた高等教育機関全体の再編が進められる中で、教員養成課程(教職課程)もさまざまな影響を受けつつある。
この課題研究は、このようなわが国の現状を基礎に、主に欧米およびアジア諸国を中心として、高等教育改革の動向と、その中で教育系大学・学部および教員養成課程がどのような変容を受けているか、あるいはどのような発展をとげようとしているのかを比較考察しようとするものとして企画されている。
その際、狭義の学校教師養成のみを対象とするのではなく、教育専門職を広義にとらえ、保育、青少年教育、矯正教育、社会教育、教育相談、福祉など関連分野の職員養成をも積極的に視野に入れて検討したいと考える。
課題研究2 教科教育の専門性と教師教育
司会
木内剛(成蹊大学)・倉賀野志郎(北海道教育大学釧路校)
提案
- 社会科教科教育の専門性とは何か 望月由孝(千葉県立小金高等学校)
- 国語科教育学の専門性と臨床性 阿部 昇(秋田大学)
- 教師教育カリキュラムとしての教授学実験 岡野 勉(新潟大学)
趣旨
教員養成における教科専門教育の持つ意義は言うまでもなく大きい。学力低下や新時代に対応した教育内容の改変、教科の再編などが課題とされる今日、教科専門の実情や今後のあり方を研究することは、切実な重要性を持つと言えよう。
少なくとも大きく二つの問題がある。一つは、専門性を養う量的な問題である。「教科に関する科目」と「教科の指導法」が主たる対象である。もう一つは、質の問題である。教科教育の専門性を培うために妥当な専門学問分野とその内容のあり方が問われる。
短兵急に結論を急がず、実態を洗い、問題点を析出する作業から始める必要があろう。まずいくつかの教科から試行的に研究に取り組みつつ、関心をもつ会員の参加を募っていきたい。
課題研究3 大学院における教師教育の現状と課題―現職研修に焦点を当てて―
司会
牛渡 淳(仙台白百合女子大学)・若井 彌一(上越教育大学)
提案
- 現職研修の制度としての大学院修士課程の視点から 朝日 素明(埼玉短期大学)
- 国立大学大学院院修士課程担当者の視点から 佐竹 勝利(鳴門教育大学)
- 私立大学大学院での現職研修の視点から 田子 健(南山大学)
趣旨
現職教員の研修促進を主眼とする大学院修士課程が、1980年代以降制度的に整備されて以来、今日では年間約1,000名の現職教員が修学している。20年に及ぶ歩みのなかで、この制度が有効な成果をもたらしているのかどうかについては、かなり否定的な見方も提示されてきた。しかし国の教師教育政策としては、今後現職教員の大学院修士課程での研修制度の大幅な拡充が予定されているのである。本課題研究では、この大学院修士課程における現職研修の現状と課題について、①制度としての大学院修士課程での現職研修の現状と課題、②実際に大学院修士課程での現職研修を経験した教員のその後の活躍状況・成果、③大学院修士課程での指導担当経験からみた現状と課題、の各視点から今後の方向を探求したい。