The Japanese Society for the Study on Teacher Education

第12回研究大会 課題研究

課題研究Ⅰ 子ども・若者の変化と教師教育の課題(Ⅲ)

(第2日目9:00~12:00  F256教室)
司会:藤枝静正(埼玉大学)/北神正行(岡山大学)

提案

  1. 子ども・若者の変化と教師教育の課題――「課題研究」の総括と展望
     玉井康之(北海道教育大学釧路校)
  2. 教員養成改革論議にみる「子ども・若者」
     岩田康之(東京学芸大学)
  3. 教師教育研究・実践は「変動」とどう向き合うか
     高野和子(明治大学)

趣旨

2000年度の第10回大会では、教員の卵でもある学生の資質・関心の変化をとらえることで、教師教育に求められる新たな課題をとらえた。また2001年度の第11回大会では、幼・小・中・高別の現職教員からみた現代の子どもの変化や現実の実践的対応をとらえることで、現代の学校現場に求められる教師の力量と教師教育の課題をとらえた。

これらを踏まえて第12回大会では、子ども・若者の変化に柔軟に対応できる実践的な力量を形成するための教師教育の課題を総括的にとらえる。現代は、子どもや若者の変化・学校現場の変化・教員養成政策の改革・大学再編など、あらゆるものが変動している中での教師教育の課題をとらえなければならない。

そのため第一に、一般に指摘されている子ども・若者の変化をトータルにとらえ、その対策の課題、および各大学で取られている改革の実践的な方向性などもとらえる。第二に、教員養成制度改革の政策的な動向を踏まえつつ、「子ども・若者」との関わりにおいて教員養成のカリキュラムのあるべき方向性を検討する。第三に、この間の研究動向を踏まえながら、教師教育研究と大学教師教育実践の課題をとらえる。

課題研究Ⅱ 教師のストレスと教師教育の課題(Ⅲ)

(第2日目9:00~12:00  F264教室)
司会:大前哲彦(大阪音楽大学)/西村絢子(日本女子体育大学)

提案

  1. 教師のストレスと教師教育の課題――「課題研究」の総括と展望
     杉江修治(中京大学)
  2. 新教育課程下における中学校現場の現状と課題
     横山政夫(大阪府茨木市立西陵中学校)
  3. 教師の役割変化に関する国際的合意形成
     八木英二(滋賀県立大学)

趣旨

この課題研究は、日本の教師がいま直面している問題を正面から取り上げ、その実態を教師のストレス分析から浮き彫りにし、その克服に関わる課題と方法を明らかにすることを目ざした。そして、その中から教師教育の改善に示唆を得ようとするものであった。

2000年度の第10回大会では、現場での指導の困難性の事例や対教師の心理相談といった、事例に沿った実態理解を深める報告と、教育社会学の研究成果から、この課題を理解するための枠組みが提供された。また2001年度の第11回大会では、問題を実証的資料によって理解すべく、臨床心理学や教育社会学、及び教育実践分析の立場から報告していただき、子どものストレスと教師のストレスとの関係性などの仮説設定をめざした。

これらを踏まえて第12回大会では、調査を実施して持ち寄ることをめざしていたが、モデル候補地の事情で延期された。そこで、総合的な学習の時間など新課程が導入された学校現場のケーススタディと教師ストレスに対処する国際的な動向把握によって教師教育、とりわけ現職研修の課題を明らかにする研究討議にしたい。

課題研究Ⅲ 社会の変化と教職の専門性を考える

(第2日目13:00~16:00  F256教室)
司会:豊田ひさき(大阪市立大学)/西川信廣(大谷女子大学)

提案

  1. 開放制教員養成の立場から考える今日の時代と教職の専門性
     三村和則(沖縄国際大学)
  2. 校内研修の現状と課題
     楠井裕茂(宝塚市立中山桜台小学校)
  3. 大学院における長期研修
     久保富三夫(神戸市立楠高等学校)

趣旨

教師は大学で養成され、教員免許状を有することが戦後教育の大原則であった。そして、教師は教師であるがゆえに、不断の自主的研修を欠いてはならないということも戦後教育の大原則であった。それが、教師が専門職であることの最低限の条件であった。

今、この大原則が揺れている。今年2月21日の中央教育審議会による「教員免許制度改革」についての答申は、社会人を教職に登用する特別免許状の取得要件を緩和するとともに、教員採用にあたって社会人特別枠を設定することを提言した。また、教員免許状の更新制こそ提言されなかったものの、10年目研修を現職教員全員に義務づけた。
社会の変化に伴い、当然のことながら教師に求められる資質も変化する。しかし、それは上記の大原則を踏まえて考えられなければならない。安易に社会人に頼るべきではないし、自主的研修の機会を保障せず、教師の資質向上の名のもとに研修を義務づけるべきではない。

同答申は、地域に開かれた学校に対応する新たな教師の資質形成に向けての答申も行っている。学校が地域に開かれることそのものに反対する人はいないだろう。先に述べたように、社会の変化に伴い教師に求められる資質も変化するから、当然そのような新しい学校をめぐる事態に対処して教職の専門性も変化する。しかし、そのことは自明のことであってはならない。先人たちが歴史的に蓄積してきた知見を踏まえて、何が変わらなければならないのか、今、教師はどのような資質を身につけることが国民の負託に応えることになるのかを考えたい。

課題研究Ⅳ 教師評価のシステムを考える

(第2日目13:00~16:00  F264教室)
司会:広木克行(長崎総合科学大学)/中田康彦(一橋大学)

提案

  1. 日本の場合
     山田功(中央大学非常勤)
  2. 中国の場合
     鮑良(神戸市外国語大学非常勤)
  3. アメリカの場合
     八尾坂修(奈良教育大学)

趣旨

教師評価のシステムづくりは、「指導力不足教員」の教職からの排除と一体になって進行している。何が、あるいは誰が「指導力不足教員」であるかを判定しようとすれば、教師に対する評価が前提になければならないからである。

教育史的に見てその政策動向は、直接的には臨時教育審議会第二次答申(1986年4月)の「適格性を欠く教員への対応」策の提言に端を発する。それを受け、早いところでは東京都が1990年代早々に施策に取り組み始め、90年代後半には中央教育審議会答申(「今後の地方教育行政の在り方について」、1998年9月)や教育職員養成審議会第三次答申(1999年12月)が矢継ぎ早に「指導力不足教員」の排除を提言した。その後、教育改革国民会議報告(2000年12月)、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正(2001年6月)と続き、現在、多くの地方自治体において「指導力不足教員」に関する人事管理の調査研究が進行中である。

本分科会では、教師評価システムの内外の現状を押さえることから始め、今後教師評価システムをどのようなものにしていけばよいかを考えたい。


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