日本教師教育学会第10回研究大会のご案内
大会開催校からのご挨拶
第10回研究大会実行委員長
川口 彰義(愛知県立大学)
日本教師教育学会第10回大会は、来る10月7日(土)及び8日(日)の両日にわたり、ここ愛知県立大学において開催されます。本年は夏以降に名古屋地区で3つの教育関係学会が開催される予定でありますが、本学会は大会開催校の会員のほか熱心な会員の方々のご助力を得て準備を進めて参りました。本大会では、従来の自由研究発表、課題研究発表のほか、新たな試みとして地元住民団体との共同で公開シンポジウムを開催します。この点これからの学会のあり方の一つのモデルになることができればと考えます。
翻って考えてみますと、子どもの世紀といわれた20世紀も余すところわずかとなりました。これを閉じるにあたり、改めて真にその名に値する子どもの人としての育ちや学びをすべての子どもに分かつことのできる時代の到来を強く祈念せざるを得ません。そこで私たちは、この極めて困難かつ厳しい時代に生きる教師の役割を見つめ直し、子どもとその教育にとって欠くことのできない教師のありようを改めて問うことを今年度大会の課題として掲げました。本大会のテーマを「これからの教師教育に何を期待するか」とした理由の根本はここにあります。
すでに私たちは、戦後の教育職員免許制度が発足して半世紀にわたる開放免許制度の経験を有し、その間に種々の制度改正がなされたり、当初見られなかった新たな制度が加わり、その問題側面もいっそう複雑化していることも明らかにされております。そしてとりわけ1990年代以降に企図された教師教育改革は、教育制度全体のあり方やそのもとで教師養成の機能を担ってきた大学その他の養成校の改革動向と密接なつながりを持っており、その帰趨は教育の直接の担い手である教師の養成から教師教育制度の総体とこれらの営みそれ自体を大きく左右するものといわなければなりません。教育制度改革はいわゆる地方分権一括法の一部として処理され、またすでに学校の改訂教育課程は完全実施に向けて移行期に入っておりますが、1997年の第一次答申以降三次にわたる教育職員養成審議会答申を契機とした教師教育制度の改革はこれらと一体のものとして教育制度全体の改革の中に位置づけてとらえる必要があります。また他方で教師教育はいうまでもなく、これらの制度改革にとどまらず、公教育の現実として見逃すことのできない様々なしかも一見解決不能とも思われる問題事態に対処しうる力量をどのような教師教育を通じて養うか(養成・研修)、あるいはまたそのような力量をどのように評価し見いだしうるのか(採用)というすぐれて実践的な課題に直面しております。
どうか多くの会員にご参集いただき、新たな世紀への発展の記念すべき大会となりますよう祈念いたします。