生成AIの研究活用と倫理的課題
近年、生成AIをはじめとする人工知能技術の研究分野での活用が推進されています。『令和6年版 科学技術・イノベーション白書』では、科学研究の一連のプロセスの中で「高度なAIを、研究・観測データの分析、仮説の生成・推論、予測、研究の自律化等に活用すること」が期待されるとしており、これまで研究者が行ってきた研究プロセス全般にわたってAIを活用することが想定されています。こうした動向を踏まえると、教育を対象とした研究においても、研究デザインの支援、文献探索の高度化、データ分析の効率化、分析結果の解釈支援など、多くの場面でAI活用の可能性が模索され、今後は研究の方法論やプロセスに大きな影響を及ぼす可能性があります。
一方で、研究におけるAI活用には、技術的・倫理的に未解決のリスクもいくつか存在しており、それを用いる際には慎重な姿勢も求められます。例えば、大阪大学の教育学習支援部では、「生成AIに関する注意点」として、AIが扱うデータの信頼性や限界性、著作権侵害の可能性などとともに、利用者の主体性・責任も示されており、AIの可能性や限界を自らの目で見極めることや情報をアップデートすることが重要だと指摘しています(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 HP)。とくに大学院生の方や研究を始めたばかりの方が論文等を執筆する際には、それを指導する側も含め、AIの使い方に難しさや課題を感じることもあるでしょう。
AIの研究活用をめぐるこうした動向を踏まえ、研究倫理委員会では、単に「AIを使う方法」を理解するのではなく、AI活用を通じて研究者の倫理観や批判的思考とは何かを考えるための学習会を企画しました。今後さらにAIの研究活用が進むと予想されるなかでも、研究者が果たすべき役割や責任を認識しながら、よりよい教師教育研究を推進するための議論ができれば幸いです。
講師 浦田悠 氏 / 大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 准教授
浦田氏は質的心理学やポジティブ心理学の立場から、青年期における人生の意味への問いについて論究されています。あわせて、大学におけるオンライン授業や学習支援に関する研究・実践にも取り組まれており、所属大学では生成AIの活用に関するFD活動にも携わっておられます。
著作に、『人生の意味の心理学』(京都大学学術出版会、2013年)、「シラバス作成に関するプレFD の効果」(日本教育工学会、2021)、「生成AIと教育」(情報処理学会、2024)など多数。
開催日時 2026年3月18日(水) 18時30分~20時30分
実施方法 zoomによるオンライン学習会
【挨拶・司会進行】 研究倫理委員会 委員長 長谷川哲也(岐阜大学)
【コメンテーター】 研究倫理委員会 副委員長 金馬国晴(横浜国立大学)
【総括・挨拶】 研究倫理委員会 半澤礼之(北海道教育大学釧路校)






