The Japanese Society for the Study on Teacher Education

研究倫理規程詳解


人権の尊重と差別・偏見の排除 詳解

(1)専門的諸活動において、各人がそれぞれに異なる価値や態度、意見を持つ権利を有していることを自覚しなくてはならない。
(2)各人が有する自身の価値に従う権利を、全ての専門的諸活動において保全するための責任を担わなくてはならない。
(3)自身の専門的諸活動の場が、そこに居る人々にとってかけがえのない生活の場であることを自覚し、法が掲げる人々の権利を尊重し、専門的諸活動の実施において研究対象者や実践参加者等の基本的人権を侵害することがあってはならない。

(4)共同研究者、研究協力者、研究補助者、研究対象者、実践参加者、雇用関係にある者、指導関係にある者等に対して、人種、民族、出自、国籍、母語、性別、性指向、性自覚、職業、宗教、障害、健康、所得、階級、婚姻状態、家庭環境などに基づくあらゆる差別をしてはならない。
(5)全ての専門的諸活動において、人種、民族、出自、国籍、母語、性別、性指向、性自覚、職業、宗教、障害、健康、所得、階級、婚姻状態、家庭環境などに基づくあらゆる差別の撲滅に貢献することをめざす。

 


7 科学的、学術的、専門的な研究 詳解

研究にあたっては、以下の点に留意する。
(1)教師教育学の研究や実践の発展に貢献することを期待されていることを自覚する。
(2)科学的、学術的な態度を堅持し、研究の発展性や社会的有用性を追求する。
(3)科学的、学術的な根拠に基づいた議論を行い、それらの根拠を明示する。
(4)データ、情報、調査結果などの捏造、改竄、盗用や、剽窃などの他者の知的業績や著作権を侵害する不正行為を行わない。
(5)特定の権威・組織・利益に拠らない自律した立場に立って実施する。
(6)資金の補助、供与を受けている場合は、原則としてそれを明示する。

 


8 研究実施のための配慮と制限

(1)研究対象者の選定、研究方法の選択、情報収集の方法、研究計画の変更、個人情報及び研究データの管理、研究期間や研究を行う場所の設定、研究成果の公表の方法、研究成果の社会への影響、仲介者・協力機関からの調査資料の提供依頼、研究終了後の情報開示と問い合わせへの対応、研究資金の適切な運用など、研究上のさまざまな面において起こりうる倫理的問題を想定し、それらを予防する手だてを事前に講じておかなければならない。
(2)会員は、自らが参画する活動において、この倫理規程に対する重大な違反行為があり、なおかつその是正が困難である場合は、その活動に参画することを取りやめなくてはならない。
(3)自身の専門的な判断と活動が、他者の生活や人生に影響を与えうる可能性を念頭に置き、知見とその形成に影響する可能性のある個人的、社会的、組織的要因ならびに、経済的、政治的要因に注意を払わなくてはならない。

 


9 共同研究者、研究対象者、研究協力者などの保護 詳解

(1)自らが直接的または間接的に監督、評価、またはその他の権限を有している共同研究者、研究協力者、研究補助者、研究対象者、実践参加者、雇用関係にある者、指導関係にある者等を、私的目的のために利用することや搾取することをしてはならない。
(2)社会通念上ハラスメントと定義される言語的または非言語的な行為を行ってはならない。また、その予防に努めなければならない。
(3)研究実施中に関係者との間で問題が生じた場合は、速やかに当該の活動を中断するなどし、適切に対応しなくてはならない。

 


10 インフォームド・コンセント 詳解

(1)自身の研究及び実践への参加を他者に強制してはならず、自由意思で参加の諾否を決定できるよう配慮する。
(2)研究対象者及び協力者に対し、研究過程全般および研究成果の公表方法、研究終了後の対応について研究を開始する前に十分な説明を行い、理解されたかどうかを確認し、原則として文書で同意を得る。また、実践等で得たデータを研究で使用する場合も、研究での使用について関係者の同意を得る。
(3)研究活動で得たデータや情報等を目的外で使用しない。また、他の手段で得たデータを関係者の許可なく目的外で研究に使用しない。
(4)通常の方法での説明によって研究内容の理解を得たという判断が難しいと考えられる研究対象者及び協力者には、理解を得るための最善の努力を行う。また明らかに自由意思による研究参加の判断が不可能と考えられる場合には、保護者や後見人などの代諾者に説明を行い、原則として文書による同意を得る。
(5)研究計画上、事前に研究対象者及び協力者に対して研究内容の全情報が開示できない場合には、その理由を説明し、承認を得る。
(6)研究を遂行する過程において、なんらかの理由で研究計画の変更が必要になった場合には、研究対象者及び協力者にも変更内容を説明し、改めて研究開始時に行ったインフォームド・コンセントと同様のやり方で、研究参加を継続するかどうかを確認する。
(7)事前説明には原則として以下の事項が必要である。
①当該研究の意義、目的および方法、研究計画が終了するまでの期間ならびに対象者が参加を要する期間、参加の頻度および要する時間、研究者の氏名および職名
②対象者に選定された理由

③参加は任意であること
④参加に同意しない、あるいは同意を撤回したことによって、研究対象者等が不利益な取り扱いを受けないこと
⑤実践・研究中は常に参加や拒否の意思を表明できること、同意はいつでも撤回できること
⑥参加することによる、研究対象者自身にとっての利益ならびに起こりうる負担並びに予測されるリスクおよびそれらへの対応 
⑦研究成果の公表及び公開の方法
⑧研究の実施から公開までの個人情報等の取扱い

 


11 守秘義務 詳解

(1)職務及び学術研究において知り得た情報は、その内容がどのようなものであっても、自他に対して危害を与える恐れがある場合や法令に特段の定めがある場合を除き、秘密性を保持しなければならない。また、その職を退いた後も、同様の義務を負う。

(2)研究ならびに実践の成果を報告するにあたっては、成果発表に関する倫理を遵守する。
(3)研究において収集できる個人情報は、研究目的との関係で必要なもののみに限られ、その範囲をむやみに広げてはならない。また、その入手目的・利用方法について、研究対象者及び協力者に了解を得なければならない。
(4)研究データは、研究成果の検証の必要に則って、研究終了後5年間は保管し、紛失、漏洩、取り違えなどを防ぐために、厳重に保管しなければならない。

(5)研究で得られた個人情報は、事前の契約に基づいて研究上の必要性が消失した場合には速やかに適切な方法で廃棄する。

(6)インターネットによる情報の拡散性の危険を認識し、研究及び実践においてインターネットを活用するにあたっては、細心の注意を払う。

 


12 利益相反への対応 詳解

(1)産学連携等により、学術的、倫理的責任を果たすことによって得られる成果の社会への還元(公的利益)と研究者個人が取得する金銭、地位、利権(私的利益)による利益相反(conflict of interest: COI)が発生する可能性について自覚する。
(2)自らの専門的諸活動において、研究対象者及び協力者との間に利益相反による諸弊害が生じないよう十分に注意し、利益相反がある場合には、その情報を開示するなど、適切に対応する。
(3)本倫理規程を遵守することが困難になる可能性が高いと思われる個人または組織からの助成金、契約、相談等の業務の受託を回避する。
(4)補助金(助成金)等に運用規程がある場合にはそれに従い、不正な使用を行ってはならない。

 


13 情報・成果の開示 詳解

(1)本学会の目的に鑑み、教師教育の実践とその研究を発展させるため、専門職としての責任を十分に自覚し、その成果を積極的に発信する。
(2)自身の専門的諸活動が社会に及ぼす影響を予測し、公の秩序や善良の風俗を損なう可能性がある場合には、情報公開に特別な制限を設けるなどの適切な対応を行う。
(3)成果の公開内容や範囲、条件等について、事前に研究対象者及び協力者と協議するなどして、秘密事項の適切な保護に努める。
(4)研究対象者及び協力者には、参加した研究の結果及び成果を知る権利があり、研究者はそれらを積極的に報告する。
(5)専門的諸活動の終了後に、研究対象者及び協力者から情報開示等の要求や問い合わせがあった場合には誠実に対応し、特別な配慮を要する場合を除いて、原則要請に応える。
(6)自身のキャリアや業績の情報が、研究成果の評価や判断に影響を及ぼす可能性があることを自覚し、詐称しない。

(7)教師教育に関する実践や研究の成果を本学会の研究大会、研究会、年報等で発表する場合、以下のことを遵守する。

①本倫理規程に定める「インフォームド・コンセント」の指針等に従って、研究対象者及び協力者に発表に関する説明を行い、理解と同意を得る。
②当該研究の研究対象者及び協力者の個人・組織が特定されないよう、秘密事項の保護に努め、研究対象者及び協力者の利益を損なってはならない。
③成果発表に際しては、二重投稿などの不正行為を行ってはならない。また、オーサーシップを厳正に取り扱い、研究に対する責任を明確にする。なお、研究発表における著者とは、当該実践および研究に実質的な学術的寄与を行った者である。

④連名発表をする場合、共同研究者間での研究への寄与を考慮し、研究に関連のないその他の社会的条件に左右されず、著者の順序を決定する。また、連名発表者は各自が論文の内容に責任をもつ。

⑤本学会が主催する研究大会及び研究会は、活発な成果報告とその交流を推進することから査読等の審査を設けていないため、報告の正当性に関する責任が報告者当人に委ねられていることを強く自覚し、責任ある報告を行わなくてはならない。
⑥本学会が主催する研究大会及び研究会の参加者は、報告された研究成果を発表者の知的業績として適正に扱い、盗用や剽窃などをしてはならない。

⑦成果発表等において条件つきで公開された情報について、参加者は報告者の示す条件を遵守する。
⑧会員が所属する研究機関等が成果報告に関する規則等を設けている場合は、原則として所属機関の規則に従い、必要に応じて当該機関の承認を得る。

 


14 学会の責任 詳解

(1)学会は、本倫理規程の徹底に努めるとともに、会員の専門的諸活動の計画・実施・発表が公正かつ適切に遂行されるための環境の整備に努める。
(2)学会は、会員の研究倫理に対する認識の深化を図るため、倫理教育や啓発活動を推進する。
(3)学会は、社会の変化に対して本倫理規程を適切に修正、改善し、会員が適切に専門的諸活動を従事できるよう、環境整備に努める。


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