The Japanese Society for the Study on Teacher Education

メッセージ

会長からの挨拶
 ―日本教師教育学会のHPにアクセスしていただいた各位へ-

このたび、本学会の第10期体制において会長を務めさせていただくことになりました高野和子です。1996年から明治大学の教職課程に所属して全学の教員志望学生の教育にあたっています。もともとは教育行政学研究室の出身で、イギリスにおける教師教育の政策と制度を主たる研究関心としてきました。会長職を担うには、とりわけ今日の難しい状況のなかにおいては、自身が研究的にあまりにも脆弱であることは十分に自覚しておりますが、1991年8月30日に本学会が創立された際に幹事として加えていただいたことから始まり、学会活動の中で多くのことを経験させていただいたので、“次につなぐ”役割と考えて務めます。

 本学会は、三石初雄前会長のリーダーシップのもと、2017年9月に『教師教育研究ハンドブック』を刊行して第10期を迎えることができました。今期の学会活動では、この『ハンドブック』を研究上の共有財産としてここからスタートしてここに還流させ、教師教育をめぐって何が起こっていてどこに課題があるのか、教師教育研究の全体像を把握して次の段階に進めることをめざします。

研究部には、牛渡淳(委員長)・浜田博文(副)両理事のもと、「課題研究1:教師教育研究の成果と課題の検討」「課題研究2:教師教育改革の国際動向と比較研究の課題」「課題研究3:教職大学院・教師教育政策」「特別課題研究:防災・学校安全と教師教育」「研究交流・若手支援」「研究倫理規程ワーキング・グループ」を置くこととなりました。これらのうち、課題研究Ⅰを研究部全体を包摂するような位置付けとし、それぞれの課題研究固有の活動を尊重しつつも、相互の内容をできるだけ関連付けて研究活動全体を組織していきたいと思っています。この研究部と、年報編集委員会(油布佐和子編集委員長、吉岡真佐樹副委員長)、国際研究交流部(矢野博之・百合田真樹人担当理事)の活動を有機的に結びつけ、学会全体として、できるだけ無理なく効果的な活動を展開していきたいと考えております。また、この規模の活動を持続させるべく、和井田節子事務局長を中心に学会事務体制の刷新も計画しています。

 長尾十三二初代会長は学会年報創刊号の巻頭言のタイトルを「教師教育の危機に直面して」とし、「教師教育の危機は、教育学と教育学教育にとっての危機」であると指摘されました。それ以降、今日まで、教師と教師教育は激変と困難にさらされ続け、教師教育の危機は深まっています。しかし同時に、400名弱で発足した学会は会員数1,200を数えるまでに成長しました。本学会が、多様な分野・多様な研究方法・多様なバックグラウンドの人々が、教師を含む教育者を育てる/育つという当事者意識でつながり、基礎的・原理的な研究から緊急状況の検討まで議論を深める場であるならば、「教師教育の危機」への対応と分析を通じて教育学と教育学教育をも豊かにできる可能性を持っているはずです。ただし、当然のことながら、多様性は強みである反面、弱点にもなり得ます。学会活動への会員お一人お一人の意欲的な参画をどうぞよろしくお願いいたします。

高野和子

(第10期会長/明治大学)

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